【解説】副業解禁!ってよく聞くけど何が解禁されたの?

最近になって耳にすることが増えてきた「副業解禁」。
もともと日本の法律には副業を禁止する条項はありませんでしたが、厚生労働省の「モデル就業規則」内の記載が副業に肯定的な内容に変わったことから、「副業解禁」と話題になりました。
会社で働く労働者の意識も変わってきており、特に20代の会社員を対象とした調査では、約90%の回答者が「勤務する会社で副業が認められていたら副業したい」と回答しています。

目次

副業はそもそも禁止されていない!?

法律に会社員の副業を禁止する条項はもとからありません。

副業解禁はよく聞くキーワードですが、今まで会社員の副業が法律で禁止されていた事実はありません。

「副業解禁」と言われるようになったのは、2018年1月に改定された厚生労働省による「モデル就業規則」から、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」の文言が削除されたことがきっかけとなっています。

代わりにモデル就業規則第68条には、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」と記載されています。

就業規則とは、
常時10人以上の従業員を使用する使用者は、労働基準法(昭和22年法律第49号)第89条の規定により、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督 署長に届け出なければならないとされています。就業規則を変更する場合も同様に、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。厚生労働省は、「モデル就業規則」を参考に、各事業場の実態に応じた就業規則を作成・届出することを勧めています。

会社員が、労働時間以外を何に使うかは、各人の自由です。法律で禁止されるものではありません。

ただし「モデル就業規則」では、次の場合は会社は副業や兼業を禁止又は制限することができるとしています。

  1. 労務提供上の支障がある場合
  2. 企業秘密が漏洩する場合
  3. 会社の名誉や信用を損なう行為、信頼関係を破壊する行為がある場合
  4. 競業により企業の利益を害する場合

中でも1の「労務提供上の支障」については分かりづらいですが、長時間労働が必要な副業などによって遅刻が増えたり、本業と重複する時間に副業したりする場合のことを示しています。

このことからわかるように会社は具体的な理由なく「嫌だから」という理由で社員の副業を禁止することはできません。

ただし、公務員については国家公務員法又は地方公務員法で、営利目的での務めまたは私企業の経営の禁止が定められています。

公務員の場合は、所轄庁の長などの承認を得ないと副業をすることはできないのでご注意ください。

あなたの会社が副業を認めているかどうか確認してみましょう

自分の会社が副業を認めているのかいないのか、まずは会社の就業規則を確認してみましょう。

就職してから一度も会社の就業規則を読んでいない方も多いとは思いますが、通常の会社の就業規則は、厚生労働省のモデルをもとに作成されていることが多いので、副業・兼業についての記載があると思います。

これまで厚生労働省が提示していた古い「モデル就業規則」をそのまま掲載しているだけの場合もあるので、自分の会社が副業可能かどうかは最終的には上司の判断を仰ぐ必要があるかもしれません。

厚生労働省の通知なんて関係なく、「副業なんて認めない!」という古い体質の会社もまだまだたくさんあります。

なぜ「モデル就業規則」が改定されたの?

厚生労働省の「就業構造基本調査」で、「副業を希望している雇用者数」が調査されています。

引用:副業・兼業の促進に関するガイドライン(厚生労働省)

調査の結果、副業を希望する雇用者は、年々増加している状況です。

株式会社学情が20代専門転職サイト「Re就活」でWebアンケート調査を実施したところ、20代の約9割が、「勤務する会社で副業が認められていたら、副業したい」と回答しています。

引用:株式会社学情プレスリリース2022年2月2日

この結果から、若い人ほど副業に興味を持っていることがわかります。

副業を希望する理由として最も多い回答が「収入を増やしたい」であることから、今の企業が雇用した従業員を満足させるほどの給与を支給できていないこと、日本型の終身雇用制が崩壊したことで、若者達がいきなりの解雇や倒産などのリスクに備える必要を感じていることがわかります。

引用:株式会社学情プレスリリース2022年2月2日

企業は時代の流れについていけていない!?

それでは、その社会の流れを反映して企業の考え方も変わってきているのでしょうか?

労働政策研究・研修機構の企業の副業・兼業に関する意向調査では、兼業の許可をしているもしくは許可を検討している企業は全体の20%弱になっています。

厚生労働省が「モデル就業規則」でわざわざ副業について言及しているのも、国が企業の価値観を変える必要があると感じているからです。

社員が生活を犠牲にしてでも会社に奉仕するという前時代的な価値観は、経済の成長や終身雇用、確実な昇給に支えられて維持されてきました。社員を満足させる給与が支払えない以上、企業が「収入が少ないから副業したい」という若い世代を思いとどまらせることは困難になってきています。

今後は、徐々に企業の考え方が変化していくのは間違いなさそうです。

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